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『無垢の祈り』観てきた

※たぶんこれ、ネタバレです。

原作未読。子供が酷い目に遭う映画と聞いて観に行ってきた。前回ブログに書いた『誘拐犯』も拉致された少女が指を切断された末に解放される映画だったので(?)、今後もこういう映画の感想とかを続けていくんだと思う。

まず自分用に書き残したいことがあって、物語の時系列を把握する上で若干混乱するポイントがあった(具体的には開幕の時系列)。上映時間が短くて登場人物も少ない映画だったので、もう一度見れば解決できるだろう。

 

自分が見た内容はシンプルだったと思う。

10歳の少女フミは母親と義父の三人で暮らしているんだけど、まぁその義父がクソ野郎で、ろくに働かず母娘に暴力を振るって外から女を連れ込み、あまつさえフミに性的虐待を加え「お前が通報して俺が逮捕されても出所後には地の果てまでお前を追う、逃れられると思うなよ」みたいな脅しまで入れる。

義父の暴行に耐えるなか、部屋のテレビからは近所に出没する連続殺人鬼の凶行を伝えるニュースが連日耳に入る。いつしかフミは「あること」を頼むため、その殺人鬼に向けてメッセージを発するようになる……、みたいな感じ。

 

この手の作品観る時って「キツい……。でも目を逸らしちゃ駄目だ……」っていうメンタルの戦いになるんだけど、『無垢の祈り』はなかなかの強敵だった。義父のレイプ時に轟音BGMが鳴るのが一番キツくて、同時に映る人形(後述)の顔も普通に怖くてつらかった。あと工場のパイプラインを背景にフミが自転車漕いでるシーンあるんだけど、なぜか『アイドルマスターシンデレラガールズ』の17話で城ヶ崎莉嘉が橋の上をチャリでかっ飛ばすシーン(すごい解放感のある感動的なシーン!)が想起された。

あと個人的には、暴力シーン毎に異常者たちの理路整然とした語りが挿入されるのがインパクトあって、こいつらマメだなーって思った。

技法面というか映像面では概ね写実的な映像が続くんだけど、フミが義父の性的虐待によって耐え難い苦痛に曝されている場面ではその律が歪んで、義父にレイプされる少女型人形を見るフミ、っていう構図の画面になる。しかもその人形を操る黒子の女性までバッチリ画面に映り込んで演技するもんだから正直言ってややこしい。

「あまりにも苦しい状況になると脳のセーフティが働いて『虐待されているワタシを外側から見るワタシ』みたいな存在が召喚される」っていう感じの話がよくあるけどそういうアレだと思う。原作読んでないから何も考えられない。というかもう自分が何書いてるのか分かんない。彩度の高い映像が見たい……。

 

あとぜんぜんどうでもいいけど公式サイトのキャスト一覧で「主人公・フミ」とか「フミの義父・クスオ」とかの後に「小児性愛者・ペドフィリア」って続くのが面白くて、むっちゃ笑った。ペドフィリアって名前なのかよ、って。

……えっ、面白くない? 面白くないっすか……。

『誘拐の掟』、犯人が娘の拉致を決定するシーンが良かった

『誘拐の掟』の、犯人が娘の拉致を決定するシーンが良かった。

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20160912:最近要約したSS

僕がショートストーリー、いわゆるSSを要約するバイトをしているのは以前書いた通りだ。他に書くこともないので、最近ネットで拾い読みしたSSの中で特に気に入った2作品を紹介してみようと思う。一応これらはコンペ選考中の作品らしいのでタイトル・作者名は伏せる。

 

 ①サバイバル島村卯月
ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ、サバイバル、不条理
内容:ある日島村卯月が目覚めるとそこは広大な荒野で、彼女の首には不気味な装置の付いたチョーカーが巻き付いていた。近くに置いてあったホワイトボードには、その装置の正体がセンサー付き爆弾であり目覚めた地点から半径10kmの範囲外に出ると爆発するという説明書きが残されていた。初めのうちは半径10kmの無人地帯で生き抜く術を知らなかった卯月も、随所に配置されたサバイバルガイドを手にすることで強く成長し、岩山のボスたるサーベルタイガーとの一騎討ちに挑む程の力を得る。手製の黒曜石ナイフで虎の喉元を切り裂いたその瞬間、周囲でファンファーレが鳴り響き、「ドッキリ大成功」のフリップが掲げられる。346プロの同僚たちから「よく頑張ったね!」と拍手喝采で迎えられる卯月であったが、言語文明から遠ざけられていた彼女にはその言葉が理解できず、環境すべてが敵であるという野生の本能のままに同僚たちを惨殺してしまう。血溜まりの中でひとり叫び声を上げる卯月。これからどうなってしまうのだろうか。
感想:無力な少女が自然の中で生き抜くスキルを獲得する過程を描いたSSは流行りつつあるが、その中でも描写のホンモノっぽさを感じさせる作品は稀有なもので、「2ヶ月山籠りして書きました」という作者のあとがきも真に迫る雰囲気がある。気になる部分はいくつかあるが、サバイバルガイドを頼りに生存した卯月が言語文明を完全に忘却したというのは作者自身も違和感があったのだろうが、若干強引な論理展開が進行していたように思う。最後の敵がサーベルタイガーというのは意味不明だが、終盤の戦闘描写の緻密さと勢いにより押し切ることに成功している。いま一番人に薦めたいSS。

 

②異界迷い込み緒方智絵理

ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ、異界もの
内容:四つ葉のクローバーを探しに出掛けた緒方智絵理。初めのうちは植物好きなアイドル仲間たちと楽しく探し回っていたが、日暮れ時になっても四つ葉探しに熱中する智絵理に呆れた仲間たちは彼女を置いて帰ってしまう。一人になった後も黙々と四つ葉探しを続ける智絵理であったが、次のスポットへと向かう高架下のトンネルを通り抜けるときに怪しげな老婆に声を掛けられる。"四つ葉のクローバーがたくさん摘める場所があるよ"、そう告げられた智絵理は老婆に言われた通りに道を辿る。振り返りながらトンネルを出て、右を見ながら左に曲がる、両目を閉じて7秒歩く、息を止めながら10秒小走り、両手を筒状に丸めて双眼鏡のように覗きながら前進、曲がり角を270°回って右折して、駆け抜ける。一本道の突き当たりには空き地があり、そこには一面に四つ葉のクローバーが生い茂っていた。「みんなの分も摘んで、幸せを分けてあげよう!」と四つ葉を摘んでゆく智絵理。両手いっぱいにクローバーを抱える頃には完全に夜になっていた。慌てて来た道を戻る智絵理だが、どうしても老婆とすれ違ったトンネルに戻ることが出来ない。名前も聞いたことのない町を半分泣きながらさまよう智絵理。とうとう疲れ切ってしまった彼女は偶然通り掛かった民宿に泊めて貰うことになった。お金を持っていないと尻ごむ智絵理に宿主は"代わりにそれを頂こう"と両手いっぱいのクローバーを指差す。彼女は少し躊躇った後にそのクローバーを差し出し、案内された部屋で眠りに就く。朝、目を覚ました智絵理はなんとかして件のトンネルに辿り着き、見知った場所へ帰ることが出来た。心配したらしい両親や同僚に「四つ葉のクローバーを探していて…」と説明する智絵理だが、どうにも納得して貰えない。その後いつもの公園へクローバーを摘みに出掛ける智絵理だが、辺りの様子に違和感があった。違和感の正体に気付いた、その公園には四つ葉のクローバーしか生えていなかったのだ。公園を出たあとも何処を探しても三つ葉のクローバーを見付けられない智絵理は途方に暮れ、SSは幕を閉じる。

感想:異界迷い込みものは若干廃れつつあるジャンルですが、その分野と「引っ込み思案な女の子」との相性はやはり抜群で、内気な緒方智絵理が自分なりの幸せを喪失する展開にはゾクッとした。物好きさんにおすすめです。

20160820:さいきんおもしろかったもの

最近面白かったもの。

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映画『HiGH&LOW THE MOVIE』

映画『HiGH&LOW THE MOVIE』観てきた。かなり気に入ったのでブログ再開する起爆剤にしちゃう。(最近マジで忙しくて全然更新してなかった……) 

俺は「繊細・耽美・寂寥感」をスローガンに生きてるわけで、EXILE TRIBEが主導する革新的エンターテインメント「HiGH&LOW」には興味ナシでドラマも未視聴だったんだけど、テレビの特番かなんかで映画『HiGH&LOW THE MOVIE』のPV↓を見て印象が変わった。 

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艦これアーケード初回プレイの感想?的な

艦これ』ってもう自分の中では過去のものになってたんだけど、艦これアーケードが稼働早々賑わっているらしいと聞いて、せっかくだしムーブメントに乗っかるか~って感じでゲーセンに行ってきた話。

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『レヴェナント:蘇りし者』観てきた

23日に『レヴェナント:蘇りし者』(原題"The Revenant")観てきた。

 

4月22日公開だから公開翌日。岩井俊二の『リップヴァンウィンクルの花嫁』すら公開二週間後までスルーしてたのに……。まあアレは舞台挨拶のチケットを逃したショックで気が向かなかったせいもあるんだけど、信仰心のランクがひとつ落ちた感はある。

 

自分は『レヴェナント:蘇りし者』っていう映画の存在を、アカデミー賞の特報を3月上旬くらいにテレビで見るまで知らなかったんだけど、「ディカプリオ悲願のアカデミー主演男優賞獲得!!!」っていう話でオオッってなったので絶対観ようと思ってた。イニャリトゥ&ルベツキの『バードマン(略』を劇場で見れなかったっていう後悔もあったし。つーかこのコンビすごいなぁ。

あっ、リュウイチサカモトの音楽は別にどっちでもいいです。凄かったけど。

 

ちなみに全国のミーハー野郎どもよろしく、俺もディカプリオのファンなんだけど、まぁ彼もアクセルローズみたいに美青年→いかついオッサンっていう変貌を遂げちゃって、何ていうかアレですね。

個人的には『バスケットボール・ダイアリーズ』『ブラッド・ダイヤモンド』『ザ・ビーチ』あたりのディカ様は特にいい。カッコイイ。

 

で、23日はチネチッタの1100円DAYで都合のいい回があったので、チケット抑えて観てきたんですよ。24時~の回だったからガラガラ。終わると午前3時で、そこから雨の中自転車を漕いで帰らなきゃいけない。

まあこれからスクリーンに映し出される極限のサバイバルと比べたら車に気を付ければ死ぬことはまずないから余裕余裕、って感じで出発した。

 

23時30分くらいにチネチッタに着いて発券すると、そこそこスクリーンが大きくて音響が良いらしいシアター8での観賞と知ってテンションが上がった。

劇場周辺はショッピングモールみたいになってて川崎駅近辺にしては珍しく健全さとオシャレさを両立しているんだけど、さすがにほとんどの店は閉店しててコンビニくらいしか開いてなかったので、大人しくロビーで待ってた。

 

それがちょうど劇場版遊戯王の終映時間と重なっちゃって、ゾロゾロ出てきた気持ち悪いオタクどもが「あのシーンの海馬が~」とか喋っててネタバレしてきそうになったから、俺は咄嗟にあ゛あ゛あ゛ぁ!みたいな大声を出してキモオタの声をかき消した。効果はてきめんで、連中のネタバレ会話を一切聴くことなく場を乗り切った。(というのはウソで、俺は耳を塞ぐ間もなくキモオタのネタバレを一身に受け止めてしまい、それなりに楽しみにしていた映画遊戯王の内容を一部知ってしまった。俺は汚れてしまった。)

 

肝心の『レヴェナント』の内容なんだけど、初見時の衝撃が重点を占めているタイプの映画だろうしあんまり予習して観に行くもんではないと思う。というか公式サイトとかをチェックしてから観に行こうとすると「息子が殺され、自らも極限の状況に置かれた男の復讐劇」みたいな感じのあらすじが不可抗力的に目に付くのが勿体ない。

たとえば俺は初見だったのに、息子が殺されそうなシーンに差し掛かったら、(あっ、ここあらすじで「息子が殺される」って書いてたとこだ!)って身構える態勢に入ってしまって、ちょっと没入感薄れちゃったし。

映画界全体に『フォースの覚醒』くらい徹底した情報統制が求められるよ、マジで。そういえば俺は『フォースの覚醒』をハンソロが息子に殺されるっていうネタバレを2chで知ってから見たんだけど、アレはつらかった。

 

まあ『レヴェナント』に関して差し障りのない話だけしておくと、劇場まで観に行っておいた方がいい映画だっていうのは確実に言える。映像がスゴい。主張が強くない劇伴も超いい。

 

ここから俺の個人的な感想だけど、ほんの少しネタバレになるかも。

 

この映画は開幕早々「ヤベェよこの映画……」ってなるから、理性的に作品を把握するまで時間が掛かった。

 

まず第一印象として、作品の舞台設定に馴染みの薄さを感じた。

実話を基にした作品で、19世紀前半の北米開拓者の物語であることは確かなんだけど、そういうことを上映中に考えている余裕がなかったし、何より「開拓者」と聞いて思い浮かべるような見慣れた西部劇と趣があまりにも違い過ぎる。セリフも少ないし。

 

ディカプリオたちは毛皮商に雇われた案内人・用心棒的な立場らしく、季節は冬で、気候の険しさが画面から伝わってくる。自然の猛威だけじゃなくて、敵対的なネイティブアメリカンたちも彼らを狙っている。トム・ハーディを筆頭に仲間たちも殺伐としたムードを漂わせている。環境すべてに気を配らなくてはならない状況だ。

 

彼らに寄り添うようにカメラが頑張っているので、俺は劇場でスクリーンを見ているだけで彼らと共にいるような気分になった。

 

こういう世界の緊迫感を味わえる映画は、生まれて初めて見たような気がする。

感動が醒めないうちにブログを書いてるから過剰なことを言ってるかもしれないけど、今までに見たことがないジャンルの映画だと思った。

 

俳優とかスタッフ陣のネームバリューに惹かれた人はとっくに観に行ってるだろうけど、その辺に全く関心のない人こそ『レヴェナント』をスクリーンで観て、そこでしか得られない感覚を体験して来るべきだと思う。

 

 

……なんか形式的なレビューみたいな締め方をするのもアレなんで、「こういう作品が好きな人は観に行った方がいいよ!」みたいな感じの推薦も適当に書く。このリストは思い付き次第増やしたい。

ヒストリエ(漫画)……視聴者に痛みを感じさせる戦闘描写が似てた。

The Last Of US(ゲーム)……極限の環境をサバイバルする緊迫感を描写する上での姿勢や、そういう世界を生き抜く人間の内面を描いている点が似ている。

トゥモロー・ワールド(映画)……カットの切れ目が存在しないかのように編集されていて、主人公の体験に没入できる。映像とストーリーを同期させる手法(?)が『レヴェナント』っぽい。つーかそもそも撮影がルベツキなんだけど。ルベツキの中だと一番『レヴェナント』に似てる。

 

こうして挙げてみると、出来事をリアルタイムで観測しているような気分にさせる作品が多いな。『レヴェナント』の緊張感もそういう類なんだと思う。他にもなんかあったら教えてください。