鬼頭莫宏の新作『双子の帝國』第1巻は3月9日発売

鬼頭莫宏の新作『双子の帝國』第1巻は3月9日発売です。

が、そんなことはどうでもいい。自分がこのタイトルを入力するために一つ二つ余計な手間を掛けているという話がしたい。

というのも『双子の帝國』を入力するためには当然「帝國」を入力する必要があるが、俺は旧字体が一発変換されるようなPCを使いたくないからその度に「ていこく」を「帝国」と変換して辞書履歴を洗浄する作業を挟むようにしていて、そのせいで五文字の作品名を表記するのに無駄に時間を使っている。キーロガーで俺のキーボード入力情報を24時間体制で監視しているCIAやFBIの連中からすると、滑稽に見えるんだろうなって思う。

もともと「変換に手間掛けて旧字体とか常用外漢字を使うネトウヨのノリが苦手」みたいな話を導入として考えてたんだけど身の丈に合った話題でもないしめんどくさいからいいや。

肝心の『双子の帝國』に関しては(三話までしか雑誌で追ってないけど)いろいろ思ったことがあるので、コミックスが発売したら感想とかブログに書きます。たぶん。

一話が試し読みできるので是非。

あと掲載誌の月刊@バンチには鬼頭のコラムとかも載っていて、自分がチラ見した号には戦艦・扶桑の図解うんちくが掲載されていた。ちゃんと買って読んでおきたいんだけど……昔は好きだったけど今あんまり戦艦とかのディティール興味ないし……別にいいやっていうか何と言うか……。

二月二十九日、『煙か土か食い物』、ショコラ・ティアラ、SS要約

近況報告。

舞城王太郎の『煙か土か食い物』読んだ

舞城王太郎作品はスピーディな感覚というかストライドの幅が長いセンテンスを一気に読み上げられる文体が売りという気がするが俺はあんまり読んだことがなくて中学生くらいの頃に『九十九十九』を一回投げ出して以来縁がなかった。そんな感じで履修放棄していたんだけど先日帰省したら姉が『煙か土か食い物』を貸してくれたので予定もないし読むかぁって思ってパラパラ捲ると案外俺はこの文体好きだなっていうか文体模写の真似事を始めるくらい気に入ってしまったんだけどあんまり上手く模写れている気はしないし読点の打ち所が判然としなくて気持ち悪くなってきた。ストーリーは一口で言うと破天荒かつ知的な四人兄弟がカッコよく暴れ回るミステリという趣きで全体通してかなり楽しく読んでたんだけど、中学生くらいの頃にちゃんと読破しておけばよかったなーみたいな後悔も感じたので来世では中学生になったらコレ真っ先に読みます。あと続編の『暗闇の中で子供』は姉が持ってなかったので読めなかった。ホーリーシット。

 

赤城みりあが歌うショコラ・ティアラについて

アイドルマスターシンデレラガールズのキャラクター三村かな子のソロ曲「ショコラ・ティアラ」を赤城みりあが歌ったバージョンがアニメ円盤5巻特典CDに収録されているらしいのでYoutubeで試聴した。「ショコラ・ティアラ」は、自身に何の取り柄も見出せないなりに前向きに生きる17歳の三村かな子が歌っていると思うと響いてくるものがあるが、11歳(書いている私と同じ!)の赤城みりあが歌うには若干ミスマッチな面もあるなぁって思った。まあかわいいから何でもいいや。

 

③SS要約について

「SS」という創作形式がある(断っておくが星新一のショート・ショートとは別物だ)ことをご存知だろうか。私は現在そのSSを要約することで生計を立てているのだが、いまひとつ自分の仕事がどのように金に結びついているのか不明瞭なのだ。

具体的に言うと、ネットに転がっているSSを適当に要約してプリントアウトして、毎週火曜日の午後二時ごろに要約済SSをとある雑居ビル内の事務所に提出して、即金で10万円の入った封筒を受け取っている。その後要約したSSがどこに流れて誰の手に渡るのかは不明で、そんなものに大金を出す人が存在するとも思えない。とにかく若干怪しい香りはするが、SS要約師の資格を持っていたら誰でも出来る仕事なので興味のある方は是非調べてみるとよいだろう。

『ルサンチマン(漫画)』は売却されていたので、『ドラえもん 第37巻』を読んだ

今日は花沢健吾の『ルサンチマン』新装版をみじめったらしい気分で読んでブログに感想を吐き出そうと思っていたのに、上下二冊のマンガは実家の俺の部屋を漁っても見当たらなかった。そういえば以前帰省したとき母親に少し部屋を整理するように言われたことがあって、そのとき「人に借りた本は除けてあるから、僕の漫画は全部売っといて頂戴」とか言って母親に処分を依頼していたんだった。

後日電話で藤子不二雄楳図かずお作品を筆頭とした大切なマンガは売らないように頼んだのに、花沢健吾はノーチェックだった。他にもいろいろ絶版本がブックオフ行きになったのは悲しくもあり、すがすがしくもある(絶版本が安く買い叩かれると人間は基本的にすがすがしい気分になる)。

いちおう簡単に『ルサンチマン』について。アマゾンからあらすじ引用。

物語の舞台は、2015年、東京。

デブ、ハゲ、素人童貞のたくろーは、30歳の誕生日に運命の彼女と出会う。 しかし、それはアンリアル―― バーチャルリアリティープログラムによって構成された世界・仮想現実の中のAIキャラクター・月子だった……

「現実を直視しろ。おれ達にはもう仮想現実しかないんだ」

月子に惹かれていくたくろーだったが、 彼女の存在には大きな秘密が隠されていた……

みたいな感じで、『狂四郎2030』から俺Tueeee要素を排除して若干ディストピア度を下げて『最終兵器彼女』的にゼロ年代ナイズするとこうなるのかなぁ?なんて風な、読んでいて非常に切実な気分になれる漫画なので買って損はないと思う。あと本田透電波男とかいうクソ痛い本の中で絶賛してた。ラストが気に入らなかったので俺はもう買い直さない。

 

本題のドラえもん読み。ドラえもんをどのようにに読むべきかという方法論については、ネット上での議論の蓄積があるんだかないんだか判然としないので保留とする。

1.魔法事典

のび太がひとつの道具を使いこなす過程で失敗から教訓を学び、万全の態勢でジャイアンに不意打ちを掛けるも返り討ちに遭うという異常な回。箒に跨り空中から蹴り込むのび太の姿を確認するや箒の柄を掴んで叩き落とすジャイアンの戦い慣れ感も半端ではない。

あと序盤、女子生徒たちの魔法少女アニメ談義に交じるのび太スネ夫ジャイアンが囃し立てるっていうコマまでは普通なんですけど、その次の、女子がのび太を擁護するコマ。「余計なことするな」っていうのび太のジェスチャー最高。ジャイスネの表情も良い。この話扉絵込みで10ページしかないのに2時間くらいずっと読んでた。やばい。

2.なんでもひきうけ会社

看板に社名を書くときにスペースが足りなくなったのか文字が徐々に小さくなっているのがナイス。しずかちゃんを「社長秘書にしてあげる」って誘うのび太が恐い。

3.感覚モニター

暴力的な描写が無い回。感覚を共有するタイプの秘密道具はエロマンガでよく見るけどたぶんコレが元ネタ。知らんけど。

4.ロボット背後霊

邪魔するものすべてを薙ぎ払うロボット背後霊を使用した結果完全に腫れ物になってしまったのび太が、自主的に独り屋根の上で夕飯を食べるというオチがベリーベリーナイス。ロープで吊るしたお盆に茶碗を載せてお代わりを要求するのび太と、下でお盆を受け取るドラえもんという、このコマだけ抜き出すと全くシチュエーションが推測できない絵面がワンダホォ。

5.エレベーター・プレート

特になし。

6.自信ぐらつ機

”スイッチを入れると自信ソーシツ電波が放射される”小型電波塔みたいな道具の回。ドラえもんが和菓子屋のドラ焼きの味にケチを付けて道具の力で店主を降伏させるという描写が、不適切過ぎて面白い。

7.おみやげフロシキ

何のコストもなく欲しい物を手に入れるタイプの道具回はたいていカルト的人気を博すことなくスルーされるが、その典型みたいな話。

8.リフトストック

使用者の重力の方向を変化させる道具。

グラビティデイズ、もしくはサカサマのパテマ。

9.ドッキリビデオ

特に言うべきことは思い付かないけどコンスタントに面白い回。 

10.アトカラホントスピーカー

口にした嘘が現実になるタイプの道具は他にもあるが、ビジュアル的には「ソノウソホント」がいちばん好き。 

11.かわいい石ころの話

「石ころにこれを塗ってよく磨くと、犬みたいになるんだ」っていう説明のアバウトさが好き。

12.かぐやロボット

「僕の友達になってくれる美少女ロボット」系の回は他にもあるが、話すと長くなる。

13.カムカムキャットフード

自分そっくりな野良猫を見捨てられないドラえもんの表情が味わい深い。

有名ラーメン評論家の記事がひとつの店を救うラストは感動してしまう。評論家バンザイ!!!評論家最高!!!

14.ふきかえ糸電話

小動物を虐めていた少年が喋るネコに怖れをなして改心?するっていう、初代トイストーリーも真似た??展開がある。

15.たまごの中のしずちゃん

のび太が完全敗北する回。「刷りこみたまご」はこの巻だと「自信ぐらつ機」に並んで非人道的な道具で、この回には同系統の道具「あいあいパラソル」回に登場していたおっさん(たぶん)が137ページにカメコ出演している。

16.のび太の0点脱出作戦

のび太がテストで65点を取る回。のびキチは要チェックや。

17.クローンリキッドごくう

抜毛症乙。

18.しかしユーレイはでた!

複数ひみつ道具を配列したミステリ大作で、それに加えてのび太がしずかちゃんに局部を晒す場面が2度ある。天丼天丼。あと「八百長」って言葉はこの回で覚えた。

19.大人気!クリスチーネ先生

のび太がまんが批評家としてジャイアンに一目置かれていることが判明する回。あとクリスチーネ・剛田ことジャイ子の新作タイトル『愛フォルテシモ』はQMAとかで出題されたときのために覚えておいて損はない。

総評

『魔法辞典』が面白すぎて無限に読み返せる。あとは『自信ぐらつ機』『たまごの中のしずちゃん』といった回を抑えておけば問題ないだろう。(良い意味で)酷い回が酷すぎて、酷くない回があんまり目立たない。

全体的にしずかちゃん、そして何より「かぐやロボット」がかわいい巻で、私はいま11歳の女の子だからよくわかんないけど、小学生を性的に目覚めさせるような描写が多かった。

実写映画版『カイト/KITE』

映画『カイト/KITE』見た。家族と食卓を囲んで、飯を食いながら。

 

いま実家に帰省中でバイトする気も無く、本を読んでPC触って映画観るくらいしか過ごす方法がない。近所のツタヤが準新作100円キャンペーン実施中で『カイト/KITE』が棚にあったので借りた。あとキャッチコピーが魅惑的な『誘拐の掟』も借りた。

というわけで今日は『カイト/KITE』のやる気のない感想でブログを更新する。同調圧力から始まったブログが三日坊主に終わらなかったのは素直に喜ぶべきことなので、更新できることを素直に喜んでいようと思う。

続きを読む

ディズニー短編映画”The Truth About Mother Goose(1957)"(邦題:『マザー・グースの歌』)

今日はドラえもんの22巻を順調に読み進んだものの、全体的に犬や猫が強い生き物として描かれる回が多く、コンセプト的にあまり気が乗らないのでスルーする。

 

という訳で1957年のディズニー映画”The Truth About Mother Goose”(邦題:『マザー・グースの歌』)についての忘備録。

詳細な作品概要は外部データベースを参照するとして、

www.youtube.com

まず15分弱の本編映像を見よう。ニコ動に日本語版もある。

(このくらいの時期のディズニー作品はパブリックドメイン化しているのか怪しいが、調べる気力がない。)

 

本作はマザー・グースの中でも有名な三つの歌

1.Little Jack Horner

2.Mary, Mary, Quite Contrary

3.London Bridge Is Falling Down

を道化師たちが愉快に歌い上げつつ、それらの背景にある歴史上の出来事を紐解いてゆこう……というアニメ映画で、子供の頃VHSが擦り切れるまで繰り返し見た作品だ。

全体的に怪しい雰囲気で、道化師たちのおどけた動きが良い。

ひょうきんなピエロが歌った後にナレーションで悲劇が語られるという構成も好きだ。

1.Little Jack Horner

16世紀ロンドン、ヘンリー8世の時代。

恐怖で眠れないジャックの動きは、『プーさん』が雷雨に怯えて不眠症になる回で自社パロディしていたような記憶があるけど、実際のところよくわからない。

2.Mary, Mary, Quite Contrary

スコットランド女王メアリー・スチュアートの逸話。メアリーと関わった男たちが崩壊する姿がシルエットで映し出されるのがトラウマ。

3.London Bridge Is Falling Down

 誰もが知る「ロンドン橋落ちた」にまつわる歴史秘話。なんと、あの『ワルキューレロマンツェ』で御馴染みのジョストが映像化されている。必見。

 

ここ数年サーカスだとか見世物小屋をモチーフにした懐古趣味的な作品の系譜が知りたくて調べてるんだけど、”The Truth About Mother Goose"にもそういう要素を感じる。

「本当にこれが歴史上の真実なのかい?」「そう、僕らの知る限りはね!」

短いですが、これで終わり。ではまた。

てんとう虫コミックス『ドラえもん 第16巻』

初めてパソコンが家にやって来たときOSはWindows98で、ローマ字入力を覚えた自分が最初に調べた言葉は「ドラえもん」だった。そこには未知の世界が広がっていたんだけど、この話は長くなるから今度にしようと思う。

 

タイムマシンの絡む”いい話”が多い16巻を読む。

 

1.音のない世界

もしもボックス非万能説を立証するエピソード。

全人類が盲目になった世界を描いた『ブラインドネス』っていう映画(もしくは原作の『白い闇』)があるんだけど、それの耳が聞こえないバージョンがこれ。音のない世界では筆談がデフォで、ジャイアンも筆談で歌う。「ひどい歌は字を見ただけで寒気がする」

2.時間貯金箱

「お前が無駄に過ごした今日は、昨日死んだ誰かが生きたかった明日なんだ」みたいな感じの無意味な格言を思い出す。

時間操作系の道具は数多くあるが、どれも影響を与える範囲がまちまちで、F先生あんまり考えてないんだろうなっていう気がしてくる。

3.オールシーズンバッジ

「半径三メートル以内を好きな季節にできる」らしい。

効果範囲を作中で明記した道具は案外すくない。

4.りっぱなパパになるぞ!

人生訓に満ちたエピソード。パッとしないなりに前向きに生きる大人のび太は、なかなかカッコいいと言わざるを得ない。

「25年後の世界でのび太たちが暮らすのはマンション12階の68号室」とかそんなカルトクイズ対策の知識はどうでもいい。

5.お金なんか大きらい!

いい話の後は酷い話と相場で決まっている。

「お金が嫌いになる薬」を飲んだのび太と「気前が良くなる薬」を飲んだのび助が出会った結果、財産の押し付け合いが始まる。効果は「薬を効かなくする薬」を飲むまで続き、あわやのび助は浮浪者に家を譲渡する寸前であった。

薬系の道具とか価値観が変化するタイプの道具はだいたい極端すぎる効果しか発揮しない。今回の薬は昏睡強盗にしか使えないと思う。

6.デラックスライト

浴びせるとなんでもデラックスになる光が出るライト。

雑種犬に照射するとプードルに変わるという発想は純血主義感がある。

7.立ちユメぼう

装着すると現実の認識が変化するヘッドギア。設定を「かわいそうなユメ」にした時の世界の変貌ぶりはサイレントヒル感がある。装着時の「ポワンポワ~ン」っていう擬音がいい。

8.四次元ポケット

のび太の腹の四次元ポケットを見て「それが何でもすてていいポケットね。」「あんたがごみすて場。」とか言いながら生ゴミを捨てていく主婦たちが狂っている。

9.ナゲーなげなわ

道具を悪用したスネ夫が最終的に然るべき報いを受けるタイプの回。

10.びっくり箱ステッキ

スネ夫のビックリ箱から飛び出してくる猫の顔がかわいい。

11.ドロン葉

不幸な犬が登場する回。腹いせにバットで殴られる犬は「ペットそっくりまんじゅう」でも見たが、飼い主が改心して犬との絆を取り戻すこちらの方が児童向け漫画としては正解なのだろう。

12.モノモース

モノが喋るようになるスプレー。

服や本の声が聴こえるようになったら病院へ。

13.ウルトラよろい

ドラえもんにハメられたのび太が非武装でジャイアンに喧嘩を売ってしまう話。

仮にのび太が『裸の王様』を知っていたら、スネ夫が変に疑わなかったなら、無抵抗のジャイアンをバットで殴る機会は得られなかっただろう。

14.シンガーソングライター

歌詞を吹き込むと自動で作曲してくれる道具をジャイアンに渡したら新曲100曲発表リサイタルに付き合う羽目に遭うという、恩を仇で返される系の話。

15.いっすんぼうし

一寸法師+帽子=いっすんぼうし←その発想は無かった! というお話。

アイスをたくさん食べるために道具を使うというオチは「大男がでたぞ」でも見た。

16.サハラ砂漠で勉強はできない

勉強の能率を上げるために環境を整えるお話。試験前に部屋を掃除しているうちに時間が消し飛んだ経験を誰もが思い出す。

遠方地の景色を見る道具で遭難者を発見する展開は、36巻収録「断層ビジョン」でも見られる。

17.雲ざいくで遊ぼう

連続稼働すると道具に不具合が発生するという発想は当時の家電事情が反映されている感じがして面白い。雲といえば『雲の王国』だけど、大長編の話は別枠で。

18.あらかじめ日記はおそろしい

「あらかじめ日記」を燃やすオチ。『天気決定表』でも見たぞ! いい加減にしろ!

19.パパもあまえんぼ

大人になる寂しさというテーマは『りっぱなパパになるぞ!』とダブるところがあるが、こちらは過去へ向かう。ドラえもんのび太の関係性が凝縮されたエピソードでもあるので、研究には欠かせない回だろう。のび太が食欲が無いと言って残したブドウをちゃっかり頂いてから様子を見に行くドラえもんの抜け目なさが愛おしい。

20.宇宙ターザン

ライオン仮面』に並ぶ知名度を誇る劇中劇、『宇宙ターザン』が登場。

言うまでもなく押さえておくべきエピソード。23ページのお話。

落ち目の特撮番組『宇宙ターザン』を応援するのび太と、全てを冷ややかな目で見るドラえもん……という対比構造は、まあ巧いですねという感じ。

f:id:pamarylis:20160223041006j:plain

子供の頃は二人の温度差を笑っていたんだけど、いい歳こいて『ドラえもん』に時間を割いている現在の自分には笑えないものがある。

 

それにしても『宇宙ターザン』の再興を成し遂げたのび太が、いちファンとしても一層深い作品愛に目覚めて終了するという〆は感慨深い。

STAND BY ME ドラえもん』が大ヒットした頃、何となくこの『宇宙ターザン』のエピソードが頭に浮かんだ。この話はまた今度。

 

人生を見つめ直しつつ、『ドラえもん』に奉仕することのできない自己と向き合ったのでおわり。

てんとう虫コミックス『ドラえもん 第12巻』②

てんとう虫コミックス『ドラえもん 第12巻』①の続き

手元にあるてんコミドラえもんは各話の出典が記されていないので、エピソードを掲載年代順に並べて考察するには外部データベースを参照する必要があって捗らない。

その点、大全集版ドラは出典ほか各種情報が整理されて載っているらしいので、体系的にドラえもんを修めるなら大全集を用意すべきだろう。しかし今から大全集を揃えるとなると五万円コース確実なので、雑に読んでも心が痛まないてんコミ版ドラを教科書としてイージーリーディングに邁進するしかない。

 

6.大空中戦

2ページに亘って展開されるドッグファイトはタイトルを裏切らない高品質なもので、少年の夢が詰まっている。オチは「街並み見おろすのさ 一番高い場所で」したジャイアンがヘリで救助される。アンテナにしがみつくジャイアンのシルエット良し。

7.ペットそっくりまんじゅう

ジャイアンがムクをバットで殴りまくる回。

動物を虐待した人間が報いを受けないエピソードというのは児童向け漫画として失格だと感じるんだけど、どう思う?

8.正義のみかたセルフ仮面

悪の組織に拘束された女が天井から迫る針山に貫かれようとしている冒頭の劇中劇のシーンが異様に性的でやばい。のび太が学級会の劇で木以外の役を担当していた過去が明かされるので、のびキチ諸兄は要チェックや。

9.カミナリになれよう

特になし

10.天気決定表

最大多数の最大幸福を取り扱った短篇。重圧に耐え切れなくなったのび太が「天気決定表」を燃やすラストは『バタフライ・エフェクト』感ある。こっちの方が30年くらい早い。

11.ゆうれいの干物

 のび太の別荘に対する執念の強さが「別そう……、別そう。(ベソベソ)」の一コマに顕れており、のび太の別荘に対する執念の弱さが「ねむいしこわいしめんどうくさい(以下略)」の一コマに顕れている。

ドラえもんの低モチベぶりが最高。

12.ドンブラ粉

 地中を自由に動き回れるようになったら~という発想の道具回は他にもある。オチもだいたい似たり寄ったりでF先生気に入ってるんだろうなコレ、っていう妙な推測が立つ。それにしても地中で溺れる恐怖は半端ではない。

13.大男がでたぞ

 尾田栄一郎はこれを読んでギア3を考案した……かどうかは定かではない。

ジャイアンが戸を閉め切って怯える絵面は「ミサイルが追ってくる」でも見たぞ。

オチでママに合わせてカップアイスもひっくり返っているのがさり気なくて◎

14.あいあいパラソル

 矢部小路という、顔すら描かれない今回限りのキャラが妙な存在感を発している。

15.勉強べやの釣り堀

のぶ代がドラえもんを初めて担当した パイロット版アニメはこれが原作。

ゴーゴーを踊るドラえもんという、時代の空気しか感じられない映像には何というか詫び寂があるので一見の価値アリ。

16.けん銃王コンテスト

 町中の子供たちがひとつの遊びで競い合って誰が一番か決めるぜ、みたいな展開が好きなんだけど、たぶんこれが原体験だと思う。遊戯王バトルシティ編とかも好き。

のび太に射撃の才能があるっていう設定はこれが初出かも。俺Tueee系マカロニウエスタンのお約束を盛り込んだ脳汁エピソードですな。弾切れのピンチ時に回避からの死体の銃を取って反撃、これですよこれ。

17.はいどうたづな

「 カッコよく乗馬するために、まずドラえもんで練習」というのび太の発想が気持ち悪い。

18.声のかたまり

 また野良猫のクロが登場する。

コエカタマリン回は「『ワ』の字で空をいく」が完成系かと。あとググると「株式会社コエカタマリン」とかいう会社が見つかってウワッってなった。

19.おくれカメラ

アルツハイマーのび助は「わすれ鳥」でも見たぞ、大丈夫か。

20.ゆうれい城へ引っこし

 31ページの中篇。独逸古城奇譚をタイムマシンで解決するお話。

言うまでもない名作。美術背景が凝っていて素晴らしい。

ロッテ・ミュンヒハウゼンが地下牢に閉じ込められるコマなんだけど、かなり良い。消えた蝋燭から立ち昇るケムリが恐怖煽り効いてる。

ロッテ・ミュンヒハウゼンかわいい。ロッテ・ミュンヒハウゼン最高。

 

おわり。