てんとう虫コミックス『ドラえもん 第12巻』②

てんとう虫コミックス『ドラえもん 第12巻』①の続き

手元にあるてんコミドラえもんは各話の出典が記されていないので、エピソードを掲載年代順に並べて考察するには外部データベースを参照する必要があって捗らない。

その点、大全集版ドラは出典ほか各種情報が整理されて載っているらしいので、体系的にドラえもんを修めるなら大全集を用意すべきだろう。しかし今から大全集を揃えるとなると五万円コース確実なので、雑に読んでも心が痛まないてんコミ版ドラを教科書としてイージーリーディングに邁進するしかない。

 

6.大空中戦

2ページに亘って展開されるドッグファイトはタイトルを裏切らない高品質なもので、少年の夢が詰まっている。オチは「街並み見おろすのさ 一番高い場所で」したジャイアンがヘリで救助される。アンテナにしがみつくジャイアンのシルエット良し。

7.ペットそっくりまんじゅう

ジャイアンがムクをバットで殴りまくる回。

動物を虐待した人間が報いを受けないエピソードというのは児童向け漫画として失格だと感じるんだけど、どう思う?

8.正義のみかたセルフ仮面

悪の組織に拘束された女が天井から迫る針山に貫かれようとしている冒頭の劇中劇のシーンが異様に性的でやばい。のび太が学級会の劇で木以外の役を担当していた過去が明かされるので、のびキチ諸兄は要チェックや。

9.カミナリになれよう

特になし

10.天気決定表

最大多数の最大幸福を取り扱った短篇。重圧に耐え切れなくなったのび太が「天気決定表」を燃やすラストは『バタフライ・エフェクト』感ある。こっちの方が30年くらい早い。

11.ゆうれいの干物

 のび太の別荘に対する執念の強さが「別そう……、別そう。(ベソベソ)」の一コマに顕れており、のび太の別荘に対する執念の弱さが「ねむいしこわいしめんどうくさい(以下略)」の一コマに顕れている。

ドラえもんの低モチベぶりが最高。

12.ドンブラ粉

 地中を自由に動き回れるようになったら~という発想の道具回は他にもある。オチもだいたい似たり寄ったりでF先生気に入ってるんだろうなコレ、っていう妙な推測が立つ。それにしても地中で溺れる恐怖は半端ではない。

13.大男がでたぞ

 尾田栄一郎はこれを読んでギア3を考案した……かどうかは定かではない。

ジャイアンが戸を閉め切って怯える絵面は「ミサイルが追ってくる」でも見たぞ。

オチでママに合わせてカップアイスもひっくり返っているのがさり気なくて◎

14.あいあいパラソル

 矢部小路という、顔すら描かれない今回限りのキャラが妙な存在感を発している。

15.勉強べやの釣り堀

のぶ代がドラえもんを初めて担当した パイロット版アニメはこれが原作。

ゴーゴーを踊るドラえもんという、時代の空気しか感じられない映像には何というか詫び寂があるので一見の価値アリ。

16.けん銃王コンテスト

 町中の子供たちがひとつの遊びで競い合って誰が一番か決めるぜ、みたいな展開が好きなんだけど、たぶんこれが原体験だと思う。遊戯王バトルシティ編とかも好き。

のび太に射撃の才能があるっていう設定はこれが初出かも。俺Tueee系マカロニウエスタンのお約束を盛り込んだ脳汁エピソードですな。弾切れのピンチ時に回避からの死体の銃を取って反撃、これですよこれ。

17.はいどうたづな

「 カッコよく乗馬するために、まずドラえもんで練習」というのび太の発想が気持ち悪い。

18.声のかたまり

 また野良猫のクロが登場する。

コエカタマリン回は「『ワ』の字で空をいく」が完成系かと。あとググると「株式会社コエカタマリン」とかいう会社が見つかってウワッってなった。

19.おくれカメラ

アルツハイマーのび助は「わすれ鳥」でも見たぞ、大丈夫か。

20.ゆうれい城へ引っこし

 31ページの中篇。独逸古城奇譚をタイムマシンで解決するお話。

言うまでもない名作。美術背景が凝っていて素晴らしい。

ロッテ・ミュンヒハウゼンが地下牢に閉じ込められるコマなんだけど、かなり良い。消えた蝋燭から立ち昇るケムリが恐怖煽り効いてる。

ロッテ・ミュンヒハウゼンかわいい。ロッテ・ミュンヒハウゼン最高。

 

おわり。