長年探し求めていた犬が殺される映画を見たはいいが、犬は一命を取りとめ、天寿を全うした

僕の人生に強烈なインパクトを与えつつも記憶には断片的な光景しか残さなかった映画のタイトルが『マイ・ドッグ・スキップ』だったと判明したのは、ここに記した通りだ。

そして先日その映画をツタヤで借りてきた。メニュー画面を見るとレンタルDVDにしては珍しくコメンタリーが充実していたけどまずそれはスルーすることにして、英語音声/日本語字幕で観た。むかし僕がこの映画を観たときは国際線の飛行機の中だったので、機内スクリーンに映る字幕なしの映像に併せて日本語音声をイヤホンで聴く形で観たのだと思われるが、何となく字幕版を見ることにした。

 

94分の短い映画だった。1940年代アメリカの古き良き田舎町を舞台に、弱虫な少年が飼い犬と共に暮らす中で成長を遂げるという、本当によくあるお話だった。場面のひとつひとつが(実際に見たことがあるので当然だが)既視感にあふれていて、この映画を人に薦めるに足りるような長所は特になかったと思う。強いて言うならノスタルジックな情景描写に関しては優れていて、少年と飼い犬・隣家の兄貴分ディンク・戦時下アメリカの田舎町・悪童たちと友達になるための試練・父親の言葉……といった要素が上手い具合に絡み合って、それなりにウッとくる場面もあった。主人公の隣家に住む人気者の青年ディンクが戦地から戻って以来すっかり人が変わってアル中になったシーンとか、けっこう輝いていたと思う。

 

ところで『マイ・ドッグ・スキップ』には、このブログで取り扱う上での重大な問題点がある。何を隠そうこの映画、犬が殺されていない。僕は犬がスコップで殴られたシーンをよく覚えていたが、その生死には頓着しておらず、そこで死んだものだと早合点していた。

しかし実際のところ犬は作品終盤スコップで殴打され瀕死の重傷を負ったにも関わらず、町の人々の懸命な祈りのせいか意識を取り戻し全快したばかりか、主人公が成長し街を離れるまで生き続け、エピローグで老衰死を遂げるのだ。

僕は犬が殺されない映画を探すために、犬が殺される映画を追求するブログを書き続けていたのか……。

もう何も考えられない。コメンタリーを参照しつつ『マイ・ドッグ・スキップ』への理解を深めたいところだが、あまりの空虚さに僕はDVDを返却してしまった。

しばらく(10分くらい?)気持ちを整理をして、余裕ができたら身の振り方を考えようと思う。