鬼頭莫宏『双子の帝國』1巻の感想?みたいな

漫画家・鬼頭莫宏の最新作『双子の帝國』のコミックス1巻が先日発売されたので、その感想というかサイン会報告というか何つーか……。

 

鬼頭莫宏の漫画っていうとアニメ化した『なるたる』『ぼくらの』あたりがたぶん代表作で、華奢なタッチの少年少女が理不尽のなかで実存のために戦ったり破滅したりするタイプの作風が有名かと思う。

作者が社会に抱いた疑問を反映した寓話のような漫画。インタビューや巻頭コメントを見る限りでは、そういう成立があるらしい。

他にもいろいろ印象的な作品を描いてるんだけど、どの漫画から読むべきかわからないっていう人には一巻完結の短編オムニバスでスッキリ読める『殻都市の夢』がオススメ。『のりりん』『なにかもちがってますか』あたりの最近の連載作はかなり異質で理解に苦しみかねないので、長編に手を出すならアニメの主題歌とかで認知度の高そうな『ぼくらの』が無難。

 

で、『双子の帝國』1巻の話。

収録は1~6話。月刊誌連載だから半年に1冊のペースで単行本が出るっぽい。

世界観は異世界ファンタジーっぽくて魔法使いとか空缶とかいう言葉が飛び交うけど、漢字の固有名詞とか衣装とかを見て判断すると第二次大戦中の日本とか満州とかのイメージで描いているんだと思う。っていうかどう見ても日中戦争な舞台設定で、そこに『終わりと始まりのマイルス』等で垣間見えたファンタジー設定をぶち込んだ形になってる。

 

1巻のだいたいのあらすじは、

光国」と「大陸」の戦争が勃発した世界。光国に滅ぼされた民族「空霞」の唯一の生き残りである少年・ガウは、触れると死んでしまう呪いのかかった少女・フアを連れて、呪いを解くために居場所の知れない「魔法使い」を探す旅を続けている。手掛かりを求めて空霞終焉の地「内汉」を目指すことにしたガウたちだが、ふたりを追う光軍も同時に内汉に進路を定めたようで……

……みたいな感じ。物語の進行スピードは期待していたよりもかなりゆっくりな感じで、主人公たちの目的を明示してはいるけど、これから『双子の帝國』が具体的にどういう漫画になっていくのかは見えてこない。正直けっこう面白いと思うし、今後に期待!ですね。

 

 考察というか、2巻が出るまでに忘れてしまいそうなことをメモしておくと、

①フアの正体

→魔法使いから買われた少女・フアは空霞の出身ではないらしく、ヤクザの証言によると光国出身の高貴な人物である可能性が高い。

②双子の存在について

→タイトルが『双子の帝國』なのだから第4話から登場した双子の少女ヨーユとゾーユが物語の核心を握っているのではないかと思いきや、今のところ目立った活躍はしていない。ただ双子というのは不吉な存在であるという旨のヤクザの発言もあるので、今後キーパーソンになるのかもしれない。

③過去作からの絵柄の変化 

→『のりりん』あたりからキャラの耳がギョーザみたいな形してて違和感を感じていたけど、『双子の帝國』にはそれがなかった。フアとか双子の女の子とか、わりと可愛いと思う。

 

掲載している「月刊@バンチ」という雑誌は置いてある本屋が微妙に少ないので探すのに苦労するけど、雑誌には鬼頭のコラムが載っているので信者はチェックするべきかもしれない。

単行本はちょっと物足りなくて、おまけページどころか過去作品の単行本のカバーに載っていたようなコメントすら見当たらない。鬼頭の近況を知れないのは残念だ。

帯の煽り文句は『壮大なスケールで描かれる著者渾身の戦争物語。』とか『構想10年、これがの鬼才描く……戦争。』っていう、どっちかと言うと途中でコケるパターンが多いタイプのやつで心配になってしまう。

のりりん』あたりから鬼頭莫宏は漫画家業に満足しているのだろうかと個人的に考えさせられることが増えたんだけど、いちファンとしては応援する以外にない。

 

あと3月19日にはサイン会も行ってきました。鬼頭先生が握手して下さったのが嬉しかったですね。いろいろ訊きたいことがあったんだけど、いざ本人を前にすると「応援しています!」しか言えなかった。またそういう機会があるといいんだけど、うーん……。

 

(おわりです)