『レヴェナント:蘇りし者』観てきた

23日に『レヴェナント:蘇りし者』(原題"The Revenant")観てきた。

 

4月22日公開だから公開翌日。岩井俊二の『リップヴァンウィンクルの花嫁』すら公開二週間後までスルーしてたのに……。まあアレは舞台挨拶のチケットを逃したショックで気が向かなかったせいもあるんだけど、信仰心のランクがひとつ落ちた感はある。

 

自分は『レヴェナント:蘇りし者』っていう映画の存在を、アカデミー賞の特報を3月上旬くらいにテレビで見るまで知らなかったんだけど、「ディカプリオ悲願のアカデミー主演男優賞獲得!!!」っていう話でオオッってなったので絶対観ようと思ってた。イニャリトゥ&ルベツキの『バードマン(略』を劇場で見れなかったっていう後悔もあったし。つーかこのコンビすごいなぁ。

あっ、リュウイチサカモトの音楽は別にどっちでもいいです。凄かったけど。

 

ちなみに全国のミーハー野郎どもよろしく、俺もディカプリオのファンなんだけど、まぁ彼もアクセルローズみたいに美青年→いかついオッサンっていう変貌を遂げちゃって、何ていうかアレですね。

個人的には『バスケットボール・ダイアリーズ』『ブラッド・ダイヤモンド』『ザ・ビーチ』あたりのディカ様は特にいい。カッコイイ。

 

で、23日はチネチッタの1100円DAYで都合のいい回があったので、チケット抑えて観てきたんですよ。24時~の回だったからガラガラ。終わると午前3時で、そこから雨の中自転車を漕いで帰らなきゃいけない。

まあこれからスクリーンに映し出される極限のサバイバルと比べたら車に気を付ければ死ぬことはまずないから余裕余裕、って感じで出発した。

 

23時30分くらいにチネチッタに着いて発券すると、そこそこスクリーンが大きくて音響が良いらしいシアター8での観賞と知ってテンションが上がった。

劇場周辺はショッピングモールみたいになってて川崎駅近辺にしては珍しく健全さとオシャレさを両立しているんだけど、さすがにほとんどの店は閉店しててコンビニくらいしか開いてなかったので、大人しくロビーで待ってた。

 

それがちょうど劇場版遊戯王の終映時間と重なっちゃって、ゾロゾロ出てきた気持ち悪いオタクどもが「あのシーンの海馬が~」とか喋っててネタバレしてきそうになったから、俺は咄嗟にあ゛あ゛あ゛ぁ!みたいな大声を出してキモオタの声をかき消した。効果はてきめんで、連中のネタバレ会話を一切聴くことなく場を乗り切った。(というのはウソで、俺は耳を塞ぐ間もなくキモオタのネタバレを一身に受け止めてしまい、それなりに楽しみにしていた映画遊戯王の内容を一部知ってしまった。俺は汚れてしまった。)

 

肝心の『レヴェナント』の内容なんだけど、初見時の衝撃が重点を占めているタイプの映画だろうしあんまり予習して観に行くもんではないと思う。というか公式サイトとかをチェックしてから観に行こうとすると「息子が殺され、自らも極限の状況に置かれた男の復讐劇」みたいな感じのあらすじが不可抗力的に目に付くのが勿体ない。

たとえば俺は初見だったのに、息子が殺されそうなシーンに差し掛かったら、(あっ、ここあらすじで「息子が殺される」って書いてたとこだ!)って身構える態勢に入ってしまって、ちょっと没入感薄れちゃったし。

映画界全体に『フォースの覚醒』くらい徹底した情報統制が求められるよ、マジで。そういえば俺は『フォースの覚醒』をハンソロが息子に殺されるっていうネタバレを2chで知ってから見たんだけど、アレはつらかった。

 

まあ『レヴェナント』に関して差し障りのない話だけしておくと、劇場まで観に行っておいた方がいい映画だっていうのは確実に言える。映像がスゴい。主張が強くない劇伴も超いい。

 

ここから俺の個人的な感想だけど、ほんの少しネタバレになるかも。

 

この映画は開幕早々「ヤベェよこの映画……」ってなるから、理性的に作品を把握するまで時間が掛かった。

 

まず第一印象として、作品の舞台設定に馴染みの薄さを感じた。

実話を基にした作品で、19世紀前半の北米開拓者の物語であることは確かなんだけど、そういうことを上映中に考えている余裕がなかったし、何より「開拓者」と聞いて思い浮かべるような見慣れた西部劇と趣があまりにも違い過ぎる。セリフも少ないし。

 

ディカプリオたちは毛皮商に雇われた案内人・用心棒的な立場らしく、季節は冬で、気候の険しさが画面から伝わってくる。自然の猛威だけじゃなくて、敵対的なネイティブアメリカンたちも彼らを狙っている。トム・ハーディを筆頭に仲間たちも殺伐としたムードを漂わせている。環境すべてに気を配らなくてはならない状況だ。

 

彼らに寄り添うようにカメラが頑張っているので、俺は劇場でスクリーンを見ているだけで彼らと共にいるような気分になった。

 

こういう世界の緊迫感を味わえる映画は、生まれて初めて見たような気がする。

感動が醒めないうちにブログを書いてるから過剰なことを言ってるかもしれないけど、今までに見たことがないジャンルの映画だと思った。

 

俳優とかスタッフ陣のネームバリューに惹かれた人はとっくに観に行ってるだろうけど、その辺に全く関心のない人こそ『レヴェナント』をスクリーンで観て、そこでしか得られない感覚を体験して来るべきだと思う。

 

 

……なんか形式的なレビューみたいな締め方をするのもアレなんで、「こういう作品が好きな人は観に行った方がいいよ!」みたいな感じの推薦も適当に書く。このリストは思い付き次第増やしたい。

ヒストリエ(漫画)……視聴者に痛みを感じさせる戦闘描写が似てた。

The Last Of US(ゲーム)……極限の環境をサバイバルする緊迫感を描写する上での姿勢や、そういう世界を生き抜く人間の内面を描いている点が似ている。

トゥモロー・ワールド(映画)……カットの切れ目が存在しないかのように編集されていて、主人公の体験に没入できる。映像とストーリーを同期させる手法(?)が『レヴェナント』っぽい。つーかそもそも撮影がルベツキなんだけど。ルベツキの中だと一番『レヴェナント』に似てる。

 

こうして挙げてみると、出来事をリアルタイムで観測しているような気分にさせる作品が多いな。『レヴェナント』の緊張感もそういう類なんだと思う。他にもなんかあったら教えてください。